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フェバリット社・ダンクレオステウス製作の話

フェバリット社・プレヒストリックライフ・シリーズ
1つとして発売中のダンクレオステウス。
そのソフトモデルの原型とビニールモデルの造形監修を
私が担当しました。
今回は、そのソフトモデル用原型製作の際の
監修作業について少し紹介。

ダンクレオステウスの造形にあたっては、化石サメを専門に研究されている
北海道大学総合博物館・冨田武照さんに監修をお願いしました。
以前より、機会があれば是非お仕事をご一緒しましょう、とお話していたので、
今回はその念願叶っての事となりました。

ダンクレオステウス2
まずは、私が以前個人作品として製作したダンクレオステウスを元に
意見交換。
ダンクレオステウスは、化石として保存状態が良いのは
頭部とそれに続く装甲状の部分のみで、胴体部の情報はほぼなく、
胴体部や各ヒレの形状等は、小型の近縁種で全身のシルエットが
化石に残っていたコッコステウスや、サメ等を参考に
様々な復元が試みられて来ました。

th_R0013189.jpg
ダンクレオステウス頭部。
クリーブランド自然史博物館にて2008年撮影。
右側の大きな標本が世界中にあるダンクレオステウスのレプリカの
オリジナル。展示解説にも「これがオリジナル」と
誇らしげに(?)紹介されています。

造形開始前のディスカッション中に
冨田さんから送られて来たイラスト。
これが非常に良いイラストで、勿論判り易い。
dunkle22.jpg
こちらは、三日月型の尾ビレを持つ、大型サメタイプの復元。

加えて、コッコステウスをベースにした横長の尾ビレでの
復元のものまで「念のために」という至れり尽くせり。
th_dunkle23jpg.jpg
ダンクレオステウスの復元としては、昔からある
よりスタンダードなタイプ。
尾ビレの形状だけでなく、背ビレの形状等にも違いが
出ている事に注目。

今回は三日月型の大型サメタイプ復元で
造形する事に。幾つかの理由の1つとして、
数メートルを越える大きさで、かつ尾ビレを推進力にする動物は
サメもクジラも魚竜も三日月型の尾ビレを持っている事。
その尾ビレがハッキリしないのがダンクレオステウスや
その近縁種、そして例外的に違う姿で復元されていたのが
モササウルス類でしたが、近年ではモササウルス類も三日月型に
近い形状の尾ビレを持っていた事が示唆
されています。

th_201403041146062.jpg
という事で、三日月型の尾ビレとしての造形のための
指示書。尾ビレ自体の形状だけでなく、尾ビレの根元の
断面まで解説されています。
というか、冨田さん、イラストが上手いんですよね。
私よりも確実に上手いので、こちらから検討用イラストを
送るときは、ちょっと気不味かったり(笑)。
文とイラスト、両方を冨田さん自身で担当して本が書けると
思います(読んでみたい!)

また、魚の胴体の側面にある側線については、
今回は現生のサメのような凸状ではなく、
化石種としても古いタイプのサメやギンザメのような凹状のラインとしました。
これはダンクレオステウスを含む板皮類が
魚としては系統的に古いため、同じように系統的に古いギンザメや
古いタイプのサメに合わせてみようと言う試みです。

th_201403041143372.jpg
口を開けたポーズでの造形のため、造形&商品生産の段階で
再現出来るか判らなかったのですが、念のため口の中の
状態、鰓の形状を推定して頂きました。
もちろん、口内の軟組織は残っていませんので、これは
あくまで想像ですが、かと言って造らない訳にも行きませんし、
好き勝手にする訳にも行きません。


FP-004_1.jpg
こうして、完成しました。
ソフトモデルのほうは、商品でもほぼ見事に原型を再現しています。

今後の研究や新標本の発見では、大きく姿が変わる可能性もありますが、
とりあえず現時点で提示出来る精度の高い復元の1つには
なっているのではないかと思っています。
*指示書は、監修の冨田さんの許可を得た上で掲載していますが、
 掲載はその一部、また念のため少し小さめの画像としています。

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