■大晦日の桜庭の入場曲が気になります。
我が家の英才教育
ウチの父親は、『007』シリーズが好きで、
テレビで放送があると、もう観たヤツでも
何度も観てまして、子供の頃の私も良く一緒に
観ておりました。そんな時、父親は
「ジョーズは、もう一回、007に出るんだぞ」や
「この役者は、これ一本しか007役やらなかったんだぞ
 (『女王陛下』やね)」
等という、どーでも良い蘊蓄を語っていたものです。

で、確か私が小学校5、6年くらいのある日。
その日も007を観ていた父親から、
「007役をやった俳優は何人?」との問いが。
「ショーン・コネリーと、ロジャー・ムーアと、
 一回しかやってない人(ジョージ・レーゼンビー)、で、
 今度新しくやる人(ティモシー・ダルトン)で4人」
と答えたところ、
「はっはっは、、、甘いな、、、、、」
いや、あなたの教え通りの解答のはずですけど!
結局、正解は教えて貰えず、時は流れる事数年。

ある日、何かで正解に気がついた(多分、とりみきの
『吉田さん危機一髪』読んでた時だ)。

『カジノ・ロワイヤル』(67年版)を計算に入れろってか!!

あれって『ネバーセイ・ネバーアゲイン』以上に
微妙なポジションの『007』やないか。
それよりも、その時まで映画の存在自体知らんかったがな。
その事を父親に言うと
「やっと気がついたか、、、、」

こういうのも、一種の英才教育なのかも。
お陰で、あるジャンルについて本筋すっ飛ばして
些末な事だけ覚え、それを武器に、1知っていることで、
さも10知っているように話す姑息な技の基礎が身に付いたような。


さて、件の67年版『カジノ・ロワイヤル』。
数年前に再度観ましたが、出演者はエラく豪華で、
美術も味があって、パッと見イカしますが、
ストーリーは、真剣に見てないせいもありますが、
やっぱりさっぱり分かりません。
が! 音楽は良いですよ、っていうか音楽だけ超有名。
タイトル曲がカッコいい。

こちらはその予告。まぁ、こんな映画です。
でもって、こっちはウソ予告。音楽と編集の力ってスゲェ!


、、、、! 『007』だけに「英」才教育!

「メカゴジラ、とでも呼んだら良いかな」
新年実質一回目のこのブログは、
去年の『ジェヴォーダンの獣』に続き、
「俺が語らねば誰が語る」シリーズ第2回。
今年のお題は、これまで読者層を考慮して
多用を避けていたゴジラネタから、満を持しての


『ゴジラ対メカゴジラ』(1974)

godzilla-vs-mechagodzilla.jpg


---注・ここからは完全ネタバレです----------


ゴジラ映画には、一種の「格」のようなものがあり、初代『ゴジラ』(1954)の主要スタッフである、特撮・「神様」円谷英二、監督・本多猪四郎、音楽・伊福部昭、この3人が揃う作品が一番上。さらに、その下にも格差があり、円谷英二死後以降の昭和期のシリーズ作品は、時代的に怪獣物が斜陽だった事や子供向け路線という事もあって、最下層ランクとして扱われる事が多くなります。そして『ゴジラ対メカゴジラ』も、時期的にそのランクに入る作品の一つ。が、しかし! 個人的には上位ランクの作品に引けを取らない作品だと思っています。特撮の質はお世辞にも高く無いし、スケールが特に大きい訳でもないし、メッセージ性が強くもないですが、勢いなら他のどのゴジラ映画にも負けない!! ネット等で調べても、良くて良作扱い程度のこの作品。みんな判っちゃいないぜ、その魅力。今回は『ゴジラ対メカゴジラ』について、私が納得するまで書き倒し、スッキリさせて頂きます(すでに長いがな)

先にも述べた、東宝特撮映画黄金トリオ・円谷・本多・伊福部に対して、『メカゴジラ』は監督・福田純、特撮・中野昭慶、音楽・佐藤勝、とそれぞれゴジラ映画には何作も関わっているものの、格落ち感のある陣容。と、書くとなんだかイマイチな映画に思われるかも知れませんが、「若大将シリーズ」の福田純、後年『御家人斬九郎』の音楽を手がける佐藤勝(ここ非常に重要)、そしてその度を過ぎた火薬使用量でセットを火事にするだけではなく、ついにスタジオを一棟全焼させた「爆破の中野」「火薬のショーちゃん」こと中野昭慶、と聞けば否が応でも期待が膨らみます。さらに出演には、あの松田優作が兄貴分と慕った、日本を代表する吸血鬼俳優・岸田森、『ゴジラ』以来、東宝特撮で博士役といえばこの人、かつ「死ね死ね団・ミスターX」平田昭彦、水戸黄門や暴れん坊将軍の悪代官役でお馴染み睦五朗、そしてこの一作のみで特撮ファンにその名を刻みこんだベルベラ・リーン(ってか、その他の仕事知らん)! この面子が揃えば、面白いか否かはともかく愉快な映画にならないはずがあるだろうか? いや、ない!(反語)(by デーモン小暮閣下)。おまけに、ゴジラ映画20周年映画だ。

ストーリーは、悪のブラックホール第3惑星人がゴジラを研究して造ったメカゴジラを武器に地球侵略。それに立ち向かうは、なんだか何時の間にやらなし崩し的に人類の味方になったゴジラと、沖縄の伝説の守護獣・キングシーサー!

なんで、沖縄の怪獣なのに「キング」なんだ?

細かい話・設定は各自wikiで調べなさい。
さて、当初、ブラックホール第3惑星人、ってイチイチ長いので以後「悪の人」、はメカゴジラをゴジラに偽装させて悪の限りを、記念作品とは言え相当厳しかったであろう特撮予算の範囲内で尽くします。ビル一棟だけ破壊とか。ゴジラの評判を落とした所で、一般大衆から石投げられたり、家族がイジメられたりでゴジラが精神的に追い込まれたりする事は無いと思うのですが、後でも述べますがとにかく「悪っぽい立ち振る舞い」に拘る悪の人ですので、偽正義の味方で地球人を混乱させる、という要素は決して外せなかったのでしょう。で、まぁいろいろあって、本物ゴジラとご対面。ここでついにメカゴジラが正体を表します。
さぁ、ご覧なさい、ふらぎ杯ゴジラ映画名シーン1位

「メカゴジラ現る!」



カッコイイーーーーーーー!!!!!!
もっかい観よ(とか言って一回じゃ終わらないけど)

このシーンを1位に選ぶという点が、いかに私のゴジラ映画観が普通からズレているか、を明確に表しています。が、こうしてまさにドンピシャのシーンの動画がアップされているんですから、少なくとも世界にはもう一人は同じ志の仲間がいるようです。アンタの気持ち、受け取ったぜ!

もう音楽だけで100点

悪の人、異星人なのになんで葉巻? 異星人のテクノロジーで造られたメカゴジラなのに、なんで「MG」のマーク? いや、そこがいかにも「悪」って感じで、オシャレだよ、センスイイよ。今回のこの記事のタイトル「メカゴジラ、とでも呼んだら良いかな」は、この時の平田昭彦演じる宮島博士のセリフ。ご覧の通り、悪の人もメカゴジラと呼んでいるので大当たりな訳ですが、これは宮島博士のネーミングセンスが宇宙レベルなのか、悪の人が地球レベルなのか。この後、宮島博士はメカゴジラの修理のため悪の人に誘拐されるので、どうも宮島博士が地球人離れしてるっぽい。結局この時は、ゴジラ・メカゴジラ双方ダメージを負って引き分け。「メカゴジラがお前と同じ性能と思ったら大間違いだぞ」と啖呵切った割に情けない結果ですが、そこもまた悪っぽくて良し。おまけに舞台がコンビナートなので、背景燃えまくってます。好きなだけ爆破したくてコンビナートを舞台に選んだとしか思えん。

その後いろいろあって舞台は沖縄。キングシーサーを目覚めさせようという段(不憫なアンギラスの事は忘れてあげましょう)。キングシーサー復活にはベルベラ・リーン(役名じゃなくて役者の名前だけど、以後このまま)が「ミヤラビの祈り」を歌わなければなりません。しかも何故かガッチリフルコーラスで。砂浜なのにどこからとも無く音楽が流れ、熱唱ベルベラ・リーン。、、、、、ベタベタの昭和歌謡で、しかも歌詞は日本本土の共通語なんすけど、それで良いのか、ウチナーンチュ。まぁ、守護神に「キング」とか付けてるくらいだから、琉球って異文化流入しまくってたんだね、きっと。ところで、このシーン、背後からメカゴジラが迫って来ていて、実は相当に緊迫した状況、歌なんて余裕ないです。っていうか、皆さんすでにメカゴジラの攻撃の射程範囲に入ってます。それにメカゴジラって空飛べるんだぜ。なのに、一思いにやってしまわないのは、きっと「悪」に拘ってるから。「悪」としてのお約束を本当に律儀に守ってくれます。劇中には出てこないけど、悪の国特産「冥土の土産」もちゃんと準備してくれていたに違いない。世の中、こんなに約束守る人ばかりだったら良いのにね。皆さんも是非見習いましょう。

で、おはようスパンクキングシーサー。
キングシーサーの特殊能力は、敵の光線を右目で吸収して、そのまま左目から打ち返すのです。なんか強そう! これならメカゴジラとも良い勝負するんじゃね?と期待させますが、そうは行きません。打ち返せるのはビーム等の光学攻撃だけ。つまりミサイルなんかの物理攻撃には糞の役にも立ちゃしねぇ。案の定、メカゴジラにミサイルでボコにされます。

という事で、本作クライマックス
「ゴジラ・キングシーサー対メカゴジラ」



カッコイイーーーーーーー!!!!!!
もっかい観(以下略)

音楽で120点や!

そして、ここにもう一人同じ志の仲間が!


2対1でメカゴジラ不利かと思いきや、今回はフル武装展開で応戦。メカゴジラ中央、画面左右のゴジラ・キングシーサーを一度に攻撃するシーンは、縦:横=1:2.35という画面比率のシネマスコープ(ここで紹介の動画は画面比率が実物と違います。)を最大限に利用した、『キングコング対ゴジラ』・中禅寺湖のシーンと並ぶゴジラ映画屈指の名シーンと言えましょう!(硬派なゴジラマニアには怒られそうだけど)。攻撃でゴジラ・キングシーサーが倒れたにも関わらず、さらにメカゴジラがあらぬ方向に無駄にミサイルを撃ち込むのは、恐らく構図的にそこらへんが寂しかったから、そしてそれが中野演出!(勝手断言)。

ゴジラとの初戦で懲りたのか、とにかく出し惜しみなく武装全開、中国の旧正月祝いの爆竹状態のメカゴジラ。あ、そうだ、爆竹で思い出した。挨拶忘れてましたね。皆様、明けましておめでとうございます。ところで、怪獣のスーツというのは、軽量な物といっても数十キロはあります。そんな物を着た人間が、他の怪獣役にのしかかるというのは相当に危険な行為。しかし、このシーンで逃げ回るゴジラ・キングシーサーは結構なダンゴ状態。さらに加えて、スーツの中は視界が非常に悪く、爆発シーンの撮影では、中からは爆発位置がほとんど視認出来ないため非常にデリケートな演出・打ち合わせが必要と言われるのですが、このシーンではそんな繊細さが微塵も見られません。もしかすると、センチ単位の移動さえ決めた「殺陣」を演出した可能性も無い訳ではありませんが、映画全編を見てもそんな繊細な事をするように見えないので、ここはゴジラ・キングシーサーの中の人に「え〜、本気で避けないと死ぬよ。でもセットから逃げたら俺が殺す」な指示が出ていたと想像するほうが面白いのでそうしとこう。先のコンビナートのシーンも含め、こんだけ火薬使たら、そら破壊用のビルを沢山準備する予算無いわなぁ。

火力では全く敵わないゴジラ、奥の手で自分の体を磁石に変化させてメカゴジラを捕まえる策を取ります。どこかの島で、雷に打たれる事により体を磁石化させる修行(?)シーンが劇中にあるのです。、、、、確か、ゴジラって一定以上の高圧電流に弱い、っていう設定が緩くあったよね。それでキングコングや自衛隊に追いつめられた事があるし。そんな電気嫌いのゴジラが地球の平和のために辛い修行を、、、(泣)。あんなにワルだった子が、みんなの為に自分を犠牲にして、、、立派になったねぇ。そうね、もう初登場から20年だもんね、ゴジラも大人になったのね。元ヤンキー・族の方が改心して先生になっちゃったりして、生徒のために東奔西走、な話を見聞きするたびに、私はこの時のゴジラを思い出さずにはおれないのです。エエ話や、、、、。

さぁ、メカゴジラ捕まえた! と、ここぞとばかりに嬉しげに飛び出して来るキングシーサー。お前今まで何してたんだ? ゴジラに適当に見せ場を譲って貰って、トドメはやっぱりゴジラ。メカゴジラの首へし折って決着! ちなみに、この翌年、この映画の直接の続編になる『メカゴジラの逆襲』が公開されます。それに登場するメカゴジラMk2は、ゴジラ対策として、首を折られても良いようにと、首にさらにもう一つ簡易の頭部を用意するという対抗策を準備。一見、スゴいようですが、そもそもゴジラの首を折られるのが前提というのが弱気にもほどがないか?

話の軸として存在するものの、実際登場するとロクに役に立たないキングシーサー。でも、このキングシーサーがこの映画の裏主役なのですよ。世の中、ゴジラやメカゴジラのような才能や容姿を持って生まれて、何度も華やかな舞台に立てる人間は一握りなのです。キングシーサーくらいの活躍でも人生上出来だと思いませんか? しかもヤバい時は舞台奥に引っ込んでいるという、引き際も見事。まぁ、引き際が見事すぎて、翌年の『メカゴジラの逆襲』のタイトルロールで流れる『ゴジラ対メカゴジラ』のダイジェストでは、キングシーサーはほぼ無かった事になってますが。キングシーサーには、一度目覚めて暴れると、またしばらく眠りについてしまうという設定があるそうなのです。どっちかというと次の年に目覚めたほうが役に立ったと思うけど。メカゴジラMk2は、護衛役にチタノザウルスを引き連れて暴れるんで、今度はゴジラが2体を相手にする事になり結構苦戦するんだよな。ただ、そんな状況で参戦すれば、今回より辛い目に合う事も確実なんで、そういう意味では、自分を知る、分をわきまえる事の大切さを教えてくれているのかも知れません、いやそうに違いない。原水爆の脅威や自然の大切さを訴えるのも大切ですが、こういう日常に直結する教訓も含んでいる、それがゴジラ映画、そして『ゴジラ対メカゴジラ』の素晴らしい所なのです、、、、、、、っていうか、そんなとこでも訴えとかんと只のバカ映画やがな。

ああ、気がつけば今回の文章、もうこんな長さに! 特撮自体の話(中野フラッシュとか、海ゴジ陸ゴジとか)や、本編の話・カッコ良いか悪いかが判らんところがオチャメな岸田森、何気に出演作の中でも一番ダンディで素敵な役なんじゃないか平田昭彦等等、まだまだ語りたい事は山ほどあるのに、そろそろこっちの体力・集中力が限界のようです。結局、今回も納得は出来なさそうですが、いずれ機会があればまた続きを、、、、、もういいですか?

さぁ、この記事読んで『ゴジラ対メカゴジラ』が
気になってきたアナタ!DVD買いましょう! 
中野監督のオーディオ・コメンタリーも素敵だし。
今年のお年玉、ツッコむならここだ!

クックロビン♪
「さぁ、みなさん、お手を拝借!」

先日のこの記事で書きました、高校〜大学の頃に
友人と8mmフィルム映画を撮っていた頃の
私に多大な影響を与えた作品が、制作者御本人によって
youtubeにアップされたのです!>『滑走の計画』
コマ撮り万歳!!

関西ローカルで深夜に放送された
自主制作映画特集番組で見て以来、ハリーハウゼン映画
『マイク・ザ・ウィザード』と共に
コマ撮り撮影するときは、いつもどこかで意識していた
作品なのです。特に、その音楽とのシンクロぶりが驚愕もの。
コマ撮りで音楽とシンクロさせるのは、理屈的には
難しく無いのですが、その手間たるや想像を絶します。
御本人からも、その工程を伺いましたが、
「いや判るけど、普通やんねぇよ、そんな事!!」。
カメラワークもカッコいいんだよな〜。

本編が約3分14秒と言う事は、1秒18コマとして、
約3500カット。「何度も同じカッコして撮ってるだけでしょ〜」
なんて思うなかれ。立ちふさがる天気、時間、通行人、
そして何よりも強敵なのはスタッフのモチベーションの持続!
こういう撮影って、楽しいのは最初の100コマくらいまでで、
あとは罰ゲームに近い感覚。これに付き合ってくれる友人は
本当に信頼出来る友人達に違いないのです。

逆に言えば、あなたの友人が本当の親友かどうか
試したければ、コマ撮り撮影に誘ってみたら良いよ。

デジタル・CGがお手軽に使えるこのご時世ですから、
こんな手間の掛かる事やる人間も相当減ったろうな〜、と
思ってましたが、こういうのが海の向こうに
いたりもするので、なかなか世の中捨てたもんじゃないな、と。

世界中の人間がこういう映画ばっかり撮ってたら、
きっと戦争も無くなると思うんだ、本当に。
パソドブれ!
同志諸君!
こんなん見つけたので報告。
映画の雰囲気そのまま持ち越しな感じで
とっても嬉しくなりません?

フランがヒロインって、
『Time After Time』で踊るくらいまで
信じられなかったよな〜。
また、この数分間のタラ・モーリスの
化けっぷりがスゴいんだ。

で、やっぱフランの父ちゃん。
出番少ないのにカッコ良過ぎ。
スコットの前で踊った時の手の動きとか
艶っぽいったらありゃしねぇ
、、、、、濃い顔のオヤジだけど。

造りの荒い所、野暮ったい所もあるけど、
そういうのも魅力のウチな素敵な映画。
変に洗練されたリメイクなんて意味無いです
(リメイクの話って聞かないけど)。
あれから240年
まずは、年賀状頂いた皆様、ありがとうございます。
「出さない宣言」しておいて何ですが、
貰っちゃうとやっぱり嬉しいです。
お互い年賀状を出さなかった皆さん、
今年中に是非どこかでお会いして、その時に年始の
挨拶をしましょう。とりあえず、2月のワンフェスまでは
模型業界松の内、って事で(ダメ?)。



では、事件収束後240年、
それに去年やり残した事なんで!

『ジェヴォーダンの獣』祭り
uIMG0001.jpg


前回観た時は、造形作業しながら
途中何度も中断入れてだったんで、
2時間越えを一気に観たらキツいかな、
と思ってましたが、やっぱり良いよ。
一度目よりも印象良くなったって。

ネットで検索掛けると、あまり芳しい
評判が無いんですが、既製の映画の枠や
見方で語るとイカンと思うのですよ、この映画。
どう見てもカレーなのに、実はハヤシライス。
カレーを期待すると肩すかしだけど、
ハヤシライスの味に目覚めると病み付き、みたいな。
この映画一本だけで一つのジャンルを確立しかねない。
史実に元を取ってはいるものの、いろんな要素を
ぶち込んで荒唐無稽、でも映画としては極めて王道、
衣装・セット等の美術に独特の美しさ、という点で
似ているのは『魔界転生』『ドラゴン・イン』、
どっちも大好きな映画。
キャスティングに間違いが無い点も共通
(『魔界転生』の宮本武蔵はちょっとアレな気もするが)。
出来がどうの、というより存在が凄い映画なんだけどな、個人的には。

で、以下ネタバレ含みますので、注意
(コメントもネタバレOKで)。

______________________________

続編なんてこれっぽっちも考えてない
キャラクターの使い切りっぷりが気持良い。
出て来るキャラクターほぼ全員、良い事悪い事、
やるべき仕事やりきって終わるし
(モニカ・ベルッチの仕込み扇子、カッコイイ!)。
おかげで、結構救いの無い話にもなってますが、
じゃぁそこでハッピーエンドにしてたら
良いかと言えば、決してそうじゃない。
「映画にバッドエンドやネガティブな要素を
 求めない、映画はカッコ良くて綺麗で楽しくてナンボ」
が持論の私でも、この映画の展開には納得してます。
トマ・タブシェ(若公爵)も、
そもそもジェヴォーダンの獣事件の
背景をあの時代性に求める脚本では、
ああならざるをえないはず。


さて、ここから蘊蓄。

まずは、主人公・グレゴワール・ド・フロンサック。
博物学者にして医学の心得もあり、
格闘・戦闘能力も抜群、絵も上手い、とまさに典型的な
万能主人公ですが、モデルのような人物が実在します。
映画の年代とほぼ同じ頃のフランソワ・ルヴァイヤンがその人。
南アメリカで育ったためかインディオの
吹き矢を使いこなし、フランス王立動植物園の職に就いた後は、
アフリカを旅して旅行記を出版、また今でも評価が非常に高い
動物学書を数々製作、ヨーロッパ人として
初めて野生のキリンを仕留めた人物でもあります。
直筆のキリンの絵が残っており、まさにそのままフロンサック。



18世紀後半というのは、博物学においてフランスが
西洋文化園をリードしていた時代。
劇中、フロンサックに貴族が「ビュフォン君は元気かね」
と尋ねるシーンがありますが、ビュフォンといえばこの通りの方
著書の『博物誌』は、18世紀にフランスでもっとも
売れた本の1つで、インテリ家庭にはたいがい1セットあったとか。
当時の博物学書というのは、1セットで今でいう車1台分の
価格がザラなので、持ってるだけで金持ちの証。
ちなみに、リンネ、ルソー、日本では平賀源内が同時代人。
ニュートンが1世代前で、1世代後が進化論のダーウィン。
余談ですが、ラマルクってビュフォンの子供の
家庭教師してたそう。女の子口説くときのネタにどうぞ。
さらに余談。フランスの博物学に対する熱意は、
フランス革命後も消える事無く、その後には
ナポレオンの指揮の元、あの『エジプト誌』を生み出す事になります
  (さらにさらに余談。エジプト遠征時、ナポレオンが兵士を鼓舞する
  ために言った言葉「四千年の風景が諸君の前にある」
  がカッコ良くてお気に入り。似た感じで、ビッテンフェルトの
  「勝利の女神はおまえらに下着をちらつかせているぞ!!」も)。

以前、その『エジプト誌』実物を直接手に取って
観る機会があったんですが、あれはもう本ではなくて
完全に工芸品・美術品・盾(防御+10 素早さ−20)
でございました。スンゴいデカイし重いし。
ちょっと無理言って、鳥類画の名手と言われるバラバン描く
ワシ・タカ類の画も見せて貰いましたが、
この当時の博物画の約束に則って原寸大(だったはず)
なのでやっぱりデカイ。
ここら辺のさらなる蘊蓄は、荒俣さんの『ブックライフ自由自在』を是非。

前述のルヴァイヤンが仕留めたキリン、
死体はパリに運ばれ剥製にされたそうで、それに影響を
受けたのがラマルク。ラマルク、小ネタ多いな。


毛皮付きマスの話は、17世紀になって
スコットランド人が新大陸に移住するように
なってから、ヨーロッパに伝わったそうで、
実際あの当時結構知られた話のようです。
今のカナダに棲息する、との設定だったそうなので、
このあたりフロンサックの経歴とも矛盾がありません。
まぁ、日本の人魚のミイラのようなネタだったんでしょうね。
劇中、フロンサックがあっさりネタばらしをするのは、
そういう噂を信じないフロンサックの博物学者・
科学者としての見識と、アメリカでの経験、
そしてユーモアのセンスも持ち合わせた
主人公としてのキャラクターを表現したものかと。

博物学ネタで私が語れるのは以上。
西洋史は不得意なので、そっち方面はなんとも。
フランス革命と言えば、マリー・アントワネットの
「パンがなけりゃお菓子を食べたら」ってアレ、
元ネタは中国・西晋の恵帝って説があるけど
(「米・麦が無けりゃ肉喰え」ってな事言ったらしい)。
個人的には、この手の台詞ってどこの国、文化でも
似たものが自然発生するもんじゃないかな、と思ってますが。
そもそもマリー・アントワネットがそんな事言ってないらしいし。


劇中登場する「獣」のロボット(アニマトロニクス)が
妙に出来良いな、と思ってメイキング観たら
ジム・ヘンソンスタジオ製!スタジオにはスケクシスが! 
それだけで星1つ追加。獣の眼、表情が良く出来てて、
このクオリティがあるなら『ダークリ2』も期待できるなぁ。
CGも担当しているようですが、そちらはハリウッド等の
他の1流SFXスタジオに比べると、ちょっと甘い。
ただ、ヘンソンスタジオ作品の品格というのが
なんとなく感じられ、それがこの映画の雰囲気に
よく合っているんじゃないかと。
ヘンソンスタジオへの発注決めたヤツ、エラい。

音声に関しては、こちらが日本人だから、というのも
あるとは思いますが、吹き替えの方が良いです。
声と俳優の容姿がバッチリなんですよ。
吹き替えの後にオリジナル(フランス語)聞くと、
なんか違うんだよな〜。

と、とりあえずこんな所で。
劇場に観に行かなかったんで、
パンフレット持ってないんですが、似たようなネタ
書かれてるような気がする、、、荒俣宏、鹿島茂あたりに。



参考図書 『図鑑の博物誌』(集英社)
    『大博物学時代』(工作舎)
    『ブックライフ自由自在』(集英社文庫)
             以上 荒俣宏 著

    『博物学の黄金時代』(リン・ハーバー 国書刊行会)
    『世界動物発見史』(ヘルベルト・ヴェント 平凡社)
    『世界贋作大博覧会』(吉村作治 編 ワールドフォトプレス)